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2011年11月14日 (月)

アウトコースへの配球

川口投手の話の続きです。

川口さんは縦に大きく曲がるカーブとインコースに食い込む剛速球が持ち味の投手でした。この剛速球のおかげでプロ入り3年という短期間に先発投手の地位を勝ち取ることができました。しかし、4年目にスランプが訪れます。打者に配球を読まれて、打たれるようになってしまったのです。

このスランプの最中に、大野(豊)投手と大先輩の江夏投手に「アウトコースの球を覚えろ」というアドバイスをもらっています。この2人は師弟関係で、ともにアウトコースを主体としたピッチングで勝負する投手です。

素人目にはさっぱりわからないのですが、なんでもアウトコースの球には球威は不要なんだそうです。インコースの球を投げるのに10の力を使うとすれば、アウトコースは7でいいそうです。その代わり絶妙なコントロールが求められるといいます。江夏さんいわく、「アウトコースはカウントも稼げるし、三振も取れる。勝負球にもなる。」ということです。そして、スピードはいらないからコントロールをつけろ、というアドバイスをされたそうです。

この話を聞いたときも、「そうだ。その通り!」と膝を打ちたくなりました。講師の世界にも全く同じことがあります。

インコースの球というのは、受講者をその気にさせて意識の変革を求めるような講義内容にあたると思います。このような成果を実現するためには、理論や事例などを語るだけではダメで、時代背景や受講者の勤める会社の風土、そして業務特性などを十分に理解し、彼らの心に響く言葉を選びながら、「そうだ、私がやらずに誰がやる!」という強烈な行動意欲を起こさせなければなりません。そのためには、そこに至るまでの講義の中で、彼らが大切にしている価値観やどんな言葉に反応しやすいのか、といった点を把握しておく必要があります。また、どんな言い方が彼らの心に響くのか、という伝え方の工夫も検討しておく必要があります。そして、一回だけでは伝わらなければ何度でも伝える。言い方を微妙に変えながら繰り返し訴えかける、といった力技になります。当然、講義だけでなく演習などもふんだんに用いられます。

これは結構大変な作業で、1つのセッションを終えただけでそこそこくたびれます。

それに対して知識学習中心の講座ではこのようなエネルギーの集中は不要です。正しいことをわかりやすく説明すればよいのです。知識を正確に覚えておくことも、伝え方の工夫も事前の準備が可能です。講義では準備したことを粛々と語っていけばよいのです。さほど疲れることもありません。時間も稼げますし、これだけでも研修として成り立つことも多いものです。まさにこれはアウトコースの球に相当すると思います。

講師の仕事をやったことのない方は、「演習中は講師は楽でいいですね。」とおっしゃいますが、本気で演習指導を行うのはとても大変です。むしろ講義で息抜きをしている感じです。ある会社で偉い方から、「演習の時間は講師を遊ばせるだけで、研修費がもったいない。」といわれたことがありますが、実際は違うんですね。しゃべっていれば時間が過ぎていく講義は、むしろ講師にとっては楽なのです。

最近の研修は前者の比重が増大しており、講師受難の時代が来たのかもしれません。

ここでも、「楽をしていては良い研修はできない。」ということがいえると思います。

すみぶち塾Sumizuku

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