2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 無理は承知で | トップページ | いつか使う教材 »

2011年7月10日 (日)

職業か、生き方か

「人はバーテンダーという職業につくんじゃない。バーテンダーという生き方を選ぶんだ。」

城アラキさん原作の漫画、「バーテンダー」の中にこんな一節が出てきます。この漫画は深夜ドラマで嵐の相葉雅紀君が主人公の佐々倉溜の役を演じていましたから、そちらをご覧になった方も多いと思います。原作もとても面白いので、ご一読をお薦めします。

この台詞は、同じカクテルを注文したカップルに対し、男性向けと女姓向けに微妙な味の違いを工夫して出した場面で、女性客が「そんなに細かいサービスをしてたら商売にならないのでは?」と心配して声をかけた場面での佐々倉の返事です。佐々倉は「バーテンダーは商売ではありません。」と答え、師匠の名バーテンダー加瀬五郎に教えられたこの言葉を紹介するのです。

サービス業というのはモノづくりのように、目に見える形がない仕事ですから、志を高く持たなければ仕事の質を維持できないということから、加瀬は弟子にこのような教えを説いたのです。考えてみれば、モノづくりの仕事でも、来る日も来る日も同じものを機械的に作っているだけなら、やはり同じことが言えると思います。だから、この教えはすべての仕事に共通するのではないかと思います。

そしてもう一つ。加瀬五郎の教えに「どんなお客様でも、そのバーに相応しくない方などいません。相応しくないサービスがあるだけです。」というのがあります。初めてのお客様であっても、もしその人が居心地の悪い思いをしたなら、その責任はすべてバーテンダーにあるということです。何とも厳しい考え方です。よほどの覚悟がないと口にできる言葉ではありませんね。

同じサービス業であるセミナー講師をやっている自分の仕事で振り返ってみるとどうでしょうか。また、コンサルタントという仕事ではどうでしょうか。

講師の中には、自分が話せることを話すだけで、いっぱいいっぱいの人もいますが、そうでなくても自分本位の高説を披露することで満足している人も多い印象を受けます。「わかる奴だけ分かれ」と言わんばかりです。こんな講師に聞かせてやりたい言葉ですね。「どんな受講者でも、そのセミナーに相応しくない方などいません。相応しくない講義があるだけです。」と。

講師業とはいわゆる「先生ビジネス」ですが、本質はサービス業です。ところが勘違いする人が多いんですね。自分はこんなに難しいこと知っているんだぞ、偉いんだぞ、という勘違いです。本当は、「わからない」という反応こそが、講師にとって最も恥ずかしいことなのですが。

我々が相手にする実務家は学生ではありませんから、いろんな人がいます。前提となる知識を持っている人もいれば、全く初めての人もいます。要領の良い人も不器用な人もいます。そんな多様な受講者の方が、「勉強になりました。」と言ってくれるようになるためには、講師の方もずいぶん頑張らなければなりません。

さらに加瀬五郎の言葉が続きます。バーテンダーがボトル磨きから仕事を始めるのは、「一本一本のボトルに込められた作り手の歴史と文化をきちんと学ぶことで、酒への愛情が生まれるからです。」というのです。そうすることで、酒をただ酔うための道具に貶めることもなくなるということです。

講師の仕事では、さまざまな経営理論や方法論の理解がこれに当たるでしょうか。単なる言葉としてではなく、その理論の提唱者が何を考えていたのか。その方法論の創始者が何を解決したかったのか。そんなことをしっかり学んだ上で講義を行うことが重要なのだと思います。1時間講義しろといわれたから、1時間分のネタを探すという考え方では、とてもここまでの深い理解は無理です。

こうして自分の仕事を、自分なりに神聖なものに変えていくことができれば、仕事の質も次第に上がってくると思います。

「人はセミナー講師という職業につくんじゃない。セミナー講師という生き方を選ぶんだ。」

いつか若い人たちに言えるようになりたいものです。

すみぶち塾Sumizuku

« 無理は承知で | トップページ | いつか使う教材 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 職業か、生き方か:

« 無理は承知で | トップページ | いつか使う教材 »