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2011年2月

2011年2月25日 (金)

しゃべるだけではダメ

昨年末から今年の初めにかけて、指揮者の仕事を紹介した手ごろな本が2冊出ています。光人社新書の「指揮者の仕事術」(伊東乾著)と学研新書の「指揮者の知恵」(藤野栄介著)です。若いころから指揮者の仕事になんとなく興味があったのでたて続けに読んでみました。指揮台に立って偉そうに指揮棒を振るというイメージとはかなり異なる実際の指揮者という仕事ぶりが紹介されており、とてもに勉強になりました。

伊東乾氏の本の中で、氏が若いころ斯界の大御所飯守泰次郎氏から受けた教えを紹介するくだりがあります。「ピアノ弾いてますか? 指揮者が棒ばかり振ってると、人生を棒に振りますよ!」という親父ギャグ系の洒落含みのアドバイスです。

具体的にいうと指揮者というのは指揮棒を振る技術より、音楽を奏でる技術の方が大切だというのです。なかでもピアノと弦楽器と声楽の技術が大事だそうです。この3つの音楽はまったく異なる性質の演奏で、この3種類の技術を身につけておけば、とりわけオペラの指揮では指揮をするというよりこれらの楽器(声を含め)を演奏するつもりでオーケストラに指示を伝えれば、自然と音楽になっていくのだそうです。「指揮法など後で学べばよい」というような話です。

これを聞いて、「講師業にも似た話はあるな」と感じました。話の上手さや知識の豊富さも確かに重要なのですが、本当に説得力のある話をするためには経験に裏打ちされていなければなりませんし、ビジネス実務分野の講師はビジネス実務の経験を持っていなければ説得力が生じません。説得力を生むためにはどのような経験が必要なのでしょうか。専門分野によりかなり違うと思いますが、私のようなマネジメントスキルを専門とする講師の場合、管理職経験と経営者経験、そしてコンサルタント経験があることが好ましいのではないかと思います。

マネジメントだけは実際にやってみなければその苦労も勘所も想像しづらいと思います。未経験の人が本を読んでもある程度の話はできますが、実際に部下を使って苦労を味わった人とそうでない人は、話を聞いていて次第に分かってくるものです。

経営者の経験の方は、ビジネスリスクに対するセンスと管理職を部下として使ってみてわかるマネジメントの善し悪しが理解できるかどうかという点で活きてきます。

前者についてですが、リスクを論じる際に、経営経験のない人は「危ないことはやめよう」という程度の理解にとどまりがちですが、会社を経営した経験のある人は「危ないけど、この橋は渡らなければ未来はない」という場面でリスクをとる経験を実地でやってきています。この経験の有無は大きいでしょう。

後者については自分でマネジメントをやるだけでなく、複数の管理職を部下に持ち、部門を上手に統括している管理職とそうでない管理職を比較してみること、そのうえで上手くいかない管理職を指導するという経験を持てる点が重要です。この経験を持つことで、より客観的にマネジメントという技術を理解することができるのです。

最後のコンサルタントの経験ですが、一人の社員として会社に勤務していると、経営改革や改善活動を経験する機会はそうたびたび廻って来るものではありません。しかし、コンサルタントという仕事をしていると、それが本業ですので来る日も来る日も、そして掛け持ちで複数の会社の経営改革に関与することができます。また経営理論についても、相手を説得して実行してもらわなければメシの食いあげなので必死で習得します。その意味で、講義で語る内容を自分で何度も経験し、利点と限界を十分に理解して話すためにはコンサルタントの経験はとても貴重だと思います。

もちろんそれがなければ講師ができないというわけではありませんし、誰でもつごうよく3つとも経験できるわけでもないと思います。ただこの3つを経験しているとずいぶん仕事が楽になるし、仕事の幅も広がり、さらに自分が語る言葉に自信と責任が持てるようになります。

いろいろやってみるのは大切ですね。

すみぶち塾Sumizuku

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