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2010年11月22日 (月)

40代はチャレンジ!

土曜日の夕方、東京FM系で放送されているSuntory Saturday Waiting Bar Avantiというラジオトーク番組があります。聴くともなく聴き始めて、かれこれ10年以上になりますが、11月6日のテーマは「落語家」でした。その中でフリーライターの堀井憲一郎氏が、古今亭志ん朝師匠の話をされていました。

志ん朝師匠といえば、10年ほど前に惜しまれつつ亡くなった名人ですが、生きておられれば70代。堀井氏によれば、落語家の黄金期は70代だとのこと。ずいぶん遅い黄金期ですね。そしてもう一つ。40代も黄金期だそうですが、こちらは少し意味が異なるという。

40代の黄金期において、どれほど冒険し、どれほど芸の幅を拡げることができたか、ということが70代の真の黄金期を迎えることができるかどうかを決定するのだそうです。志ん朝師匠も40代のころは様々な芸の試みを行い、今に残る多くのCD作品を制作されたそうです。

独創的なアイデアを生み出すためには、発散思考と収束思考が必要だと言われます。簡単に言うと、最初は自由な発想でドカーンと発想を拡げ、玉石混交の巨大なアイデアプールを作りだし、そのあとで良質な玉だけを選びつつ収束させ、最後に残ったものを丹念に磨き上げることが大切だということです。しかし、もうひとつ忘れてはならないのは、最初の「ドカーン」の際にはアイデアの量が確保されるのですが、ここでアイデアの質も多様化していくことも見逃せません。発想の振幅が大きくなれば、量の増大だけでなく、質の多様化も実現されるというわけです。単なる量の拡大だけではガラクタの山を築く恐れもありますが、多様化してくれれば、中には「おや?」という掘り出し物が隠れていることも期待できます。

志ん朝師匠は、まさに40代のころ、数多くのチャレンジを行うことで、多様な芸の形を発見し、身につけて行かれたのでしょう。そしていよいよ60代、「これからだ!」という矢先に急逝された。多くのファンや関係者が肩を落としたのは当然ですね。

ところで、講師の世界も似たところがあるかもしれません。我々も若いころは、「若造が何を言うか!」と軽んじられやすいのですが、40歳にもなるとそれなりの貫禄が付いてきて、仕事が非常にやりやすくなります。その意味で40代は1つの黄金期です。しかし、独立自営の講師業は落語家と同じく生涯現役でなければ生活に困りますから、40代で終わりでは困ります。60歳を過ぎても通用しなければなりません。

40代のころは、少なくとも見た目は第一線の専門家のような風体ですので、ある面、中身がなくても(失敬!)なんとか通用します。しかし、歳をとってくるとその手は効かなくなります。話の内容に「なるほど」と思わせるものがなければ、「おいおい、爺さんの出る幕じゃないよ」という話にもなりかねません。ここでいう内容というのは、「俺はこんなに難しいことを知っているぞ」というようなものではありません。もちろん深い知識は必要なのですが、肝心なのは「そうそう、そうなんです。そう言ってほしかったんです。」と受講者に感じさせるスキルです。これは単なる話芸でしょうか?

いえ、決してそうではありません。企業経営やマネジメントに求められる複雑な知識や知恵を複合的かつ現実的に理解していることが大切です。たとえば法令遵守であれば、「法律を守らなければこんな罰を受けますよ」ということだけでなく、法令を正直に守ることの難しさ、そして守らせなければならない立場のつらさ、といった多くの立場から法令遵守を語ることができるかどうか。そして、内部統制などの直接的な手法や概念だけでなく、人事評価や会議運営などの間接的に効いてくる要素にも目配りが必要です。これから何をどのように進めるべきか、あるいは何ができそうなのかを考えるためのヒントを提供できる能力もなければなりません。

このような広範な知識をある程度以上の年齢になってゼロから学ぶのは容易ではないでしょう。若いころからコツコツと蓄積していかなければなりません。しかも、「本で読んだことがあります」というレベルではなく、それを使って講義を行った経験も必要です。知識は教えることで自分のものになります。だから40代のころ、「お呼びがかかるから」というだけで、来る日も来る日も同じネタで仕事を続けていてはならず、やったことのない領域に果敢にチャレンジしてみることが必要なのです。もちろん講師は先生稼業ですから、教えるに足るだけの準備が必要であることは言うまでもありません。

さらに、経営戦略やマーケティング領域の講師であれば会社の経営を、マネジメント領域の講師であれば部下のマネジメントを、あるいは特定分野の技術指導の講師であればその専門領域の実務(コンサルタントとしての経験を含む)をやってみることが重要です。やったことがある人の話には説得力がありますから。このような仕事も、歳をとってから始めるのは(不可能ではないものの)しんどいですね。その意味でも、40代は大切ではないでしょうか。

私ごとですが、30代のころは国内系コンサルタント会社に勤務していました。その会社では本流とは言い難いサービスラインに所属していた関係で、食うために(仕事をもらうために)手当たり次第に依頼を引き受けました。コンサルティングも講師業務もその他の受託作業も・・・。その当時は「俺もきちんと専門性を確立し、もっと深い仕事がしてえ」と周囲にこぼしていたのを思い出します。でも今になってみると、強制的に広範囲の知識習得と実務経験ができていたんですね。おかげで同世代のコンサルタントより、多少は知識の幅(だけ)は広いかもしれません。また、40代に入って大手監査法人に転職し、赤字子会社の取締役を任された時も、最初は「俺は尻拭いのためにここに入ったんじゃねえ」とこぼしていましたが、今では企業経営の実務と赤字会社の黒字化という貴重な経験をさせていただいたと理解することができます。講師という経営指導の仕事をしている私にとっては、気づかずに重ねてきた貴重なチャレンジだったと思います。

必ずしも厳密に(暦年で)40代でなくてもいいと思うのですが、無茶のできる時期にできる限り多くのチャレンジを行うことですね。私もまだ40代に少し引っかかっています。チャレンジ精神を忘れず、これから40年近くの職業人生の肥やしになる栄養分を蓄えたいと思います。

(あれれ、お腹のあたりには十分な栄養分が・・・)

すみぶち塾Sumizuku

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